悪魔の木 概要


  悪魔の木の舞台は、茨城県の筑波山です。


 この山は関東平野にあってすり鉢を被せたような突出した山の為に、植物蔓延の舞台にするにはちょうど良かったのです。






筑波山を遠くから見る。                     霞ヶ浦から見た筑波山





 風返峠からの展望、小説のなかにもでてくる場所です。




 悪魔の木の正体を、こそっとお教えします。


 防衛省のある男が、クラスター爆弾禁止などによって国防の見直しが必要になったとき、海岸線の長い日本をいかにして守るかを考えたのですね。


 敵国の進行を海岸で防ぐには、そこにバリケードを築くとの考えは昔からあります。ただ、日本のような海岸線の長い国では何処に上陸するか相手の艦隊が接近しないとわかりません。しかも、日本がそのような状態になるとは、戦い末期で劣勢のときですから、制空権もままならないですから、そごて建築物のバリゲードなど作っていられるかとの問題もあります。


 それでも海岸線の守りは必要。そこで何か良い方法はないかと考えた防衛省の人間がいました。


 それがバリケードに植物を使うとの考えになったのですね。 しかし、敵が海岸線を使い上陸すると知ってからとなれば、数日でバリケードにならないと駄目。それで男は、遺伝子操作によって種子をまいて三日経てば五、六メートルになる驚異の速度で育つ植物を作ろうとしました。しかし、男も考えました。敵を防げても、これだけ早く育つ植物があっちこっちで増えだしたら、大変な事になると。それで男は、植物から生殖機能を取り除こうとしました。それなら、使っても育った木は子孫を残せずに枯れるので、問題は起こらないと考えたのでしょう。


 ただ、防衛の為ですから、そうなると種子を持たない植物を実験室で1本作っても意味はありません。


 そこで男のとった方法は、3日で成長する種子をつける植物を最初に作り種子を得て、その種子に手を加え、増殖能力を持たない植物にしようとしたのです。二段構えを考えたのですね。

 試験としては、これで何の問題もないのです。


 ところが試験とは別な問題がありました。それは、製造過程で種子を得るためにできる副産物である増殖可能の植物のスペックにあったのです。早い話が、海岸線防衛用と同じスペックを持って増殖をする植物ですね。

 すなわち、これが悪魔の木の正体でもあるのです。それでも植物は植物で、悪魔の木とは大袈裟ではと思いませんか?。


 ところが、これが、もし、一旦自然界で使われれば人類を滅ぼすような悪魔の木になるのです。


 理屈は極めて単純です。三日で育つ木であれば、三日目には種子を落とすのです。種子が落ちれば、そこから新たな植物が育ちます。たしか小説のなかでは1本の木から百本が育つとなってました。


 1本の木から百本の五、六メートルの木が、たった三日で育ったら、この処理は大変ですよね。まして相手は優しい響きを持つ植物ですから、危険と知らなかったら誰も切りませんよ。そうなれば、あっちゅうまに増えますわ。


 単純計算なら、これはネズミ算ですから、1本から百本、次の六日目には1万本の木です。気付いたときに、切るに切れない数ですよ。もう、9日目となったら私の頭では計算できませんわ。


 そうなんです。この木の怖さは短時間で成長する為に、簡単に人間の処理限界を超すところにあったのです。人の処理限界を超せば、植物は限りなく増えます。農耕地であろうと、市街地であろうと。


人にとって危険な物 = 兵器、、、、ですね。

 何処にでも居るんですよ。男が副産物としてできる増殖植物は危険だと唱えれば唱えるほど、それを兵器として利用しようとする人間が。


 物語は、それを知り研究をやめようとした男が、この種子を持って逃げた先が筑波山であった事からはじまります。 


  文庫本2冊程度の分量になったので二つにわけています。
    前編は、どちらかというと推理小説風に進んでいきます。
     後編は、いよいよ悪魔が正体を見せたとき、どう対処するかになります。




  こちらは前編は無償公開しています。後編は150円としました。